ゲームレビュー『Prismaticallization』(アークシステムワークス)
【メインスタッフ】
シナリオ: 池田修一
原画:森藤卓弥
【観点別評価(S~E)】
シナリオ:B ビジュアル:C キャラクター:B 演出:B ムービー:B サウンド:B システム:D
【特殊観点評価】
ゲーム性(アドベンチャー):A
点数:80点 プレイ時間:約20時間(プレイ方法により大きく変動あり) 紹介サイトはこちら。
![]() | SuperLite 1500シリーズ Prismaticallization (2002/12/12) PlayStation 商品詳細を見る |
・以降、約3分程度に渡り、読むだけの進行となります。ご了承ください。
・現在格闘ゲーム界隈でその名をとどろかすアークシステムワークスが99年に放ったまさかのギャルゲー……の、皮をかぶったパズルゲーム的な何か。
・「選択肢の無いアドベンチャー」と銘打たれた本作は、『循環』、『記録』、そして『解放』といった独自のゲームシステムによってゲームたらしめられている。
・『循環』。このゲームは普通に読めば30分、スキップすれば2分程度の一日を、延々と繰り返すループものである。
・『記録』と『解放』。とある周回時にある特定の状況に立たされた主人公は、その状況(あるいは状態、出来事)を『記録』できる。そして以降の周回時の同じゲーム内時間に『解放』することで、記録した状況を再現できる。
・と説明しても「なんだそりゃ」って感じなので一つ例示を挙げる。ループ回数n回目にとあるドアを開錠し、その状態を『記録』する。するとループ回数n+1回目以降に一度だけ『解放』することで、施錠されていたドアがあらかじめ開錠されているという状態で物語が進む。
・このゲームシステムは物語、ひいてはゲーム全体のテーマと深く繋がってくるので、プレイしながら理解していく類のものだと思います。正直文章で説明するのは非常にダルい。
・『記録』と『解放』を繰り返すことで、何度も繰り返される同じ一日が少しずつ変化していき、最終的には『循環』から脱出するというのが本作の目的。
・その「少しずつ変化」するというのがやっかいで、プレイ中では同じ一日を何度も、何十回も、時には百回以上でも見せられることになる。つまるところ総プレイ時間の半分以上がテキストスキップをしている時間なのである。
・だからといって私は本作の攻略サイトを参考にしながらのプレイを奨励しない。ページ冒頭に書いた通り、この難解なゲームシステムは一種のパズルゲーム的なものである。延々と繰り返される変わり映えのない一日、つまり既読スキップが延々と続く、そこに未読テキストがポンと現れる瞬間がたまらない。
・そしてこのゲームのシナリオの上手いところは、無事『循環』から脱出するという物語後半に、ものすごい含みと比喩を持たせた一見して意味不明な展開を見せる点にある。それに気づいた時にはパズルゲームを攻略した快感と合わさり、非常に大きなカタルシスを味わえる。それがこのゲームの最大の魅力の一つと言ってよいだろう。
・ストーリーとゲームシステムが、一体となっている。これほどまでのユニークさで、その利点を最大限に活かしているゲームにはなかなかお目にかかれないだろう。
・そんなゲームの登場人物たちも、奇特でユニークな主人公・射場荘司によってキャラ立ちがなされている。説明書から各ヒロイン5人の特徴を抜き出すと、幼児的・凶暴・ブラコン・不可解・天然ボケと愉快なワードが並んでいる。
・ヒロインをそう断定する主人公は衒学的で猜疑心の塊。事あるごとに一々疑問を持ち、哲学的・論理的にその解を得ようと
・そんな主人公の一人称で物語が進行するため、テキストもギャルゲーとしては非常に堅苦しく独特な雰囲気を持つ。が、けしてイラついてはならない。よくよく読んでみると面白い考察も多々あるし、またその半分以上はスキップすることになるのだから(笑)
・ついでにこのゲームのファンの間では有名な「拙僧プレイ」(主人公の一人称を「拙僧」に設定する)もなかなか面白いんでおすすめです。
・ヒロイン的には
「わたし、えっちなことなら構いません」、
「……お兄ちゃん……また、痛いことしてください」、
「……また……感じさせて下さい……」
……などと名台詞を連発する超インテリ小学六年生、「不可解」こと琴原みゆの一強。残念ながら一強。
・音楽に関してはBGMはまあまあ。が、主題歌『smile』(リンク先はYouTube)は不思議な感じが漂う中毒性のある曲で一聴の価値あり。OPムービーの出来も良い。
・システム面は90年代の作品ということもありバックログ、オートスキップと最低限の機能がないのが少々厳しい。特にこのゲームは独特なテキストで難解な用語が続出する、スキップの使用頻度が高いという特徴から、その最低限がどうしても欲しくなる。
・そんなワケで、スキップ地獄に耐えてでも他にはない独特な作品がやりたい! という方のために、アークシステムワークスの作品解説から以下のテキストを転載して、締めとさせていただきます。
・「他に類を見ない実験的作品。選択肢の存在しない特異なシステムとそれに連絡した珍奇なテキストが多くの非難と僅かな賛辞を呼んだ。」
【積みゲー崩し日記リンク】
・ゲームプレイ日記『Prismaticallization』その1「ついでに『moon』や『セカンドノベル』も語っちゃえ的な何か」(ネタバレ注意) ツイート

≪ OVERDRIVE 5th Anniversary Live「d2b vs DEARDROPS」前日の心境 | HOME | 久々にフィギュアを眺めてみると3次元も捨てたもんじゃねえなと思わないかい? ≫
Author:夏冬達樹 a.k.a こーしんりょー
雑食エロゲーマー。
レビュースタイルは「良いとこ探し」。
作品の企画書に載っていそうな「本質」を見抜きたいと思いながら、日々エロゲーをプレイする。
好物はロリと輪姦とおっぱい(大小問わず)。
抱き枕カバーが無いと禁断症状で夜な夜な金縛りに襲われる体質。
そんな私を人々は指をさして笑います。
- 2015年11月 (1)
- 2015年09月 (1)
- 2015年07月 (1)
- 2015年06月 (3)
- 2015年05月 (4)
- 2015年04月 (2)
- 2015年03月 (1)
- 2015年01月 (3)
- 2014年12月 (1)
- 2014年11月 (2)
- 2014年10月 (5)
- 2014年09月 (2)
- 2014年08月 (1)
- 2014年07月 (3)
- 2014年06月 (3)
- 2014年05月 (2)
- 2014年03月 (2)
- 2014年02月 (3)
- 2014年01月 (4)
- 2013年12月 (1)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (3)
- 2013年09月 (6)
- 2013年08月 (6)
- 2013年07月 (6)
- 2013年06月 (10)
- 2013年05月 (5)
- 2013年04月 (1)
- 2013年03月 (6)
- 2013年02月 (6)
- 2013年01月 (8)
- 2012年12月 (2)
- 2012年11月 (3)
- 2012年10月 (6)
- 2012年09月 (2)
- 2012年08月 (4)
- 2012年07月 (3)
- 2012年06月 (1)
- 2012年05月 (3)
- 2012年04月 (5)
- 2012年03月 (3)
- 2012年02月 (4)
- 2012年01月 (7)
- 2011年12月 (5)
- 2011年11月 (2)
- 2011年10月 (7)
- 2011年09月 (1)
- 2011年08月 (2)
- 2011年07月 (5)
- 2011年06月 (4)
- 2011年05月 (2)
- 2011年04月 (1)
- 2011年02月 (2)
- 2011年01月 (2)
- 2010年10月 (1)
- 2010年08月 (1)
- 2010年05月 (1)
- 2010年04月 (1)
- 2010年03月 (1)
- 2010年01月 (1)
- 2009年07月 (1)
- 2009年04月 (2)
■巡回サイト
・ErogameScape-エロゲー批評空間-
・エロゲーム特典.com
・りぺあ ~Patch Library~
■相互リンク
・回転式機構@りぼるばー
・風の舞~雅~
・えばーずらいん
・積みエロゲ崩し
・刹那夢見る少年
・庭と練乳ヴィン
・地雷原~成人向けアニメ、ゲームをぶった斬る!
・GT250R痛単車への道(仮)
・5.2.Pop
・エロゲーの体験版を淡々とレビューするよ
□バナー有りサイト
■お友達
・塗りつぶした季節
・きゃらめるきっずマキアート
・night a star